ODサポート最新の研究

                          (2019.7.5)
  重症の起立性調節障害の子どもでは長期欠席に陥る場合があります。
長い期間、登校できないと子どもたちはどのような不安を持っているのでしょうか。勉学の遅れや友達の関係など、その不安は子どもによって違いがあると思われます。学校側はどのように関わり、対応したらよいのか、戸惑いもあるかと思います。
 最近、東京医科大学小児科の研究グループが、次のような調査を行い、学会雑誌に報告しました。とても重要で役立つ内容です。
是非、学校関係者にもお伝えして、活用していただけると良いと思います。  
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起立性調節障害児の教育現場に対するニーズ調査(原著論文)
Author:須田 和華子(東京医科大学病院 小児科), 齋藤 直子, 加藤 幸子, 春日 晃子, 竹下 美佳, 呉 宗憲
Source: 子どもの心とからだ (0918-5526)28巻1号 Page58-64(2019.05)
Abstract:起立性調節障害児の登校に関する問題は、心と身体双方の影響を考慮しなければならない。われわれは起立性調節障害に伴い不登校となっている児の学校に対するニーズと傾向を把握するためアンケート調査を行った。児の多くは、教師から「勉学や行事に関する内容」の連絡を期待し、「勉学の遅れ」を不安に思い、登校再開には「体調の回復」が必要と回答した。教師から高頻度の連絡を望む児ほど、登校するには体調の回復が必要で、教師に放っておかれることを期待しない傾向を認めた。一方で教師の病気への理解を低く評価した児ほど、教師からの連絡を期待せず、登校には体調の回復が必要と考えず、教師に気にかけられることを期待しない傾向があった。勉学への不安を抱き、体調の回復が登校に必要と考える一方で、教師との関係が登校に影響を与えている可能性が示唆された。児のニーズの傾向は効率的な登校支援に欠かせず、今後さらなる検討が望まれる。(著者抄録)
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 【監修者からのコメント】

 

2018年以後に発表された起立性調節障害に関する新しい研究をリストしています。また、原著論文、総説、解説論文として学術雑誌に掲載されたものに限定しています。

 

 

近年の起立性調節障害に関する研究は、日本小児心身医学会の「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」に基づいて、新起立試験によってサブタイプを決定し診断確定するようになってきました。しかしまだ症状だけや以前の判定基準を使ったエビデンスの不十分な研究もありますが、かなり減ってきたようです。全般的に洗練された研究が増えてきました。

 

 海外、とくに欧米での小児起立性調節障害の研究は、おもに体位性頻脈症候群(POTS)を中心になされています。これはすでに報告されていますが、欧米ではサブタイプの起立直後性低血圧が極めて少ないためです。またPOTSの診断基準は日本と米国で異なります。国の違いや民族の違いが影響していると思われますが、日本のPOTSの診断基準は、公立小中高等学校における相当数の健常者の新起立試験データを基に作成されており、エビデンスが確立しています。一方、米国では日本に相当するデータがありません。その点では日本の研究が先行していると言えます。

 

 

起立性調節障害(OD)-病態理解と診断・治療はどこまで進んでいるか 起立性調節障害難治例におけるガイドラインの活用

 

Author:梶浦 貢(サンタマリア病院 小児科)

 

Source:子どもの心とからだ(0918-5526)264Page381-383(2018.02)

 

 

 

起立性調節障害(OD)-病態理解と診断・治療はどこまで進んでいるか 起立性調節障害に対する薬物療法 ミドドリンの次の一手

 

Author:吉田 誠司(大阪医科大学附属病院 小児科)

 

Source:子どもの心とからだ(0918-5526)264Page377-380(2018.02)

 

 

 

起立性調節障害(OD)-病態理解と診断・治療はどこまで進んでいるか 起立性調節障害における脳血流変化

 

Author:石井 和嘉子(日本大学 医学部小児科学系小児科学分野), 藤田 之彦

 

Source:子どもの心とからだ(0918-5526)264Page374-376(2018.02)

 

 

 

起立性調節障害(OD)-病態理解と診断・治療はどこまで進んでいるか 起立性調節障害は、なぜ起きられない? 睡眠障害の視点から

 

Author:呉 宗憲(東京医科大学 小児科)

 

Source:子どもの心とからだ(0918-5526)264Page371-373(2018.02)

 

 

 

【不定愁訴】 若年者の不定愁訴に潜む起立性調節障害

 

Author:田中 英高(OD低血圧クリニック田中)

 

Source:アニムス(1342-0119)231Page16-20(2018.01)

 

 

 

小児起立性調節障害診断・治療ガイドラインの新起立試験法における血圧回復時間の検討

 

Author:数間 紀夫(西部総合病院 小児科)

 

Source:埼玉県医学会雑誌(0389-0899)521Page242-245(2017.12)

 

 

 

起立性調節障害と考えられていた自閉症スペクトラム障害および注意欠如多動性障害併存の14歳女児例

 

Author:秋谷 進(三愛会総合病院 小児科)

 

Source:小児科(0037-4121)5813Page1707-1710(2017.12)