起立性調節障害診断の手順

起立性調節障害(OD)の診断は、次に掲げるODの11症状のうち3つ以上当てはまり、かつ、ODのサブタイプのいずれかに合致することとなっています。 

(1)OD症状
1.
立ちくらみやめまい
2.
起立時の気分不良や失神
3.
入浴時や嫌なことで気分不良
4.
動悸や息切れ
5.
朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
6.
顔色が青白い
7.
食欲不振
8.
腹痛
9.
倦怠感
10.
頭痛
11.
乗り物酔い

(2)ODのサブタイプ
1.
起立直後性低血圧
2.
体位性頻脈症候群
3.
血管迷走性神経性失神
4.
遷延性起立性低血圧
    5.脳血流低下型(起立性循環不全型)
    6.高反応型

 

具体的に医療機関ではどのようにODの診断を進めるのか、その手順についてフローチャートを参照しながら説明しましょう。 

上記のOD症状のうち、3つ以上が当てはまれば、医療機関では、問診、診察、基本的な血液検査、内分泌学的検査、検尿、胸部レントゲン検査(あるいは心臓超音波検査)、心電図などを必要に応じて実施します。
ODでは通常、これらの検査で異常がありません。
これらの検査で異常が見つかれば、別の病気がないか、さらに精密検査を行うことになります。別の病気が見つかれば、ODより優先してそちらの病気の治療を行います。
OD症状のうち、「2.起立時の気分不良や失神」があれば、失神を起こすほかの病気(てんかんや不整脈など)がないか、別の検査を行います。
これらの検査で異常がないならば、起立性調節障害の可能性が高くなりますので、「新起立試験」という検査を実施します。

 

「新起立試験」は、起立性調節障害ガイドラインにしたがって医療機関が実施します。実施方法についての詳細はここでは割愛しますが、4つのサブタイプを診断することができます。

 

OD症状のうち、2.起立時の気分不良や失神、があれば、ヘッドアップティルト試験を行うこともあります。これも医療機関で実施します。

 

新起立試験は、午前中に実施することがポイントです。ODでは午後には体調が回復し、検査が正常化することがしばしばあります。
一定の条件や日時によって測定結果が変わりますので、1回の検査で異常がない場合に再検査することもあります。

 

再検査をしても異常がない場合は、起立循環反応の異常が少ない可能性があります。それにもかかわらず体調不良のために欠席が続く場合には、ほかに何か原因があって不登校を起こしているのかもしれません。日本小児心身医学会の「不登校診療ガイドライン」にしたがって、医療機関に診療を任せましょう。

 

新起立試験でサブタイプが決定すれば、起立性調節障害の診断は確定します。次に心理社会的関与がないか、「心身症としてのODチェックリスト」を使って調べたのち、それらのデータを基にして、治療を行うことになります。
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