具体的に医療機関ではどのようにODの診断を進めるのか、その手順についてフローチャートを参照しながら説明しましょう。
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上記のOD症状のうち、3つ以上が当てはまれば、医療機関では、問診、診察、基本的な血液検査、内分泌学的検査、検尿、胸部レントゲン検査(あるいは心臓超音波検査)、心電図などを必要に応じて実施します。
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ODでは通常、これらの検査で異常がありません。
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これらの検査で異常が見つかれば、別の病気がないか、さらに精密検査を行うことになります。別の病気が見つかれば、ODより優先してそちらの病気の治療を行います。
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OD症状のうち、「2.起立時の気分不良や失神」があれば、失神を起こすほかの病気(てんかんや不整脈など)がないか、別の検査を行います。
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これらの検査で異常がないならば、起立性調節障害の可能性が高くなりますので、「新起立試験」という検査を実施します。
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「新起立試験」は、起立性調節障害ガイドラインにしたがって医療機関が実施します。実施方法についての詳細はここでは割愛しますが、4つのサブタイプを診断することができます。
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OD症状のうち、2.起立時の気分不良や失神、があれば、ヘッドアップティルト試験を行うこともあります。これも医療機関で実施します。
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新起立試験は、午前中に実施することがポイントです。ODでは午後には体調が回復し、検査が正常化することがしばしばあります。
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一定の条件や日時によって測定結果が変わりますので、1回の検査で異常がない場合に再検査することもあります。
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再検査をしても異常がない場合は、起立循環反応の異常が少ない可能性があります。それにもかかわらず体調不良のために欠席が続く場合には、ほかに何か原因があって不登校を起こしているのかもしれません。日本小児心身医学会の「不登校診療ガイドライン」にしたがって、医療機関に診療を任せましょう。
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新起立試験でサブタイプが決定すれば、起立性調節障害の診断は確定します。次に心理社会的関与がないか、「心身症としてのODチェックリスト」を使って調べたのち、それらのデータを基にして、治療を行うことになります。
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