【 新しい研究のご紹介 】

 

 

 

ある保護者会では、複数の大学病院と協力してODの子どもたちが参加できるサマーキャンプを行っています。楽しいだけのキャンプではなく、しっかりとした科学的根拠に基づいた医学的キャンプです。大阪医科大学、関西医科大学の小児科医が専門的な視点から教育的プログラムを企画し子どもたちの心とからだの健康を回復する医学的支援を行っています。

 

キャンプに参加することで、子ども達の自律神経機能が改善しているのか、心身への改善効果があるのか、科学的根拠が求められます。そこで小児科医達は、子どもたちの協力を得て安全な検査を行い、改善効果を調査しました。その結果、キャンプに参加した子どもたちでは心身状態が改善されることが分かりました。その内容が以下のように日本小児心身医学会学術雑誌に報告されましたので紹介します。今後もこのような科学的根拠に基づいた治療法の開発が望まれます。

 

 

 

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起立性調節障害キャンプ(2)と自律神経機能検査および心理テストによる評価

 

著者:吉田 誠司, 田中 英高, 川端 康雄, 柳本 嘉時, 神原 雪子, 東 佐保子, 西藤 奈菜子, 橋本 文, 河村 仁美, 八島 麻美子, 増田 直哉, 水谷 翠, 中尾 亮太, 岡本 直之, 梶浦 貢, 松島 礼子, 石崎 優子, 金 泰子, 竹中 義人, 寺嶋 繁典

 

子どもの心とからだ 2018年第271Page59-64

 

 

 

抄録抜粋:起立性調節障害(OD)は、自律神経系による循環調節不全と心理社会的因子が主な発症要因となる心身症である。OD患児らがキャンプを経験することで、家庭・学校環境から離れた自然体験によるストレス軽減、社会体験・生活体験・チャレンジ体験による自己肯定感・自己効力感の向上、が期待される。また、患児同士で親睦を深め、疾病への理解を深め、不安の軽減や、自主的な疾病管理に向けた行動変容も期待できる。OD患児を対象とした療育キャンプは国内では他では実施されていない。2回目となる今回は中学生16名を対象として23日で実施しその効果を心身医学的に評価したところ、心身両面への治療介入となる療育キャンプは有用であるとの結果が得られた。

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(2018.10.4更新)


2018年5月23日、日本小児心身医学会より、ODに関しての声明が発表されました。

以下、日本小児心身医学会より引用。

   http://www.jisinsin.jp/#alternativetherapy

 

<起立性調節障害(OD)に対する整骨や整体などの代替療法の効果についての声明>

最近、インターネット上で、整骨や整体などの代替療法が起立性調節障害に効果があると宣伝するウエブサイトが急増している。ODの本質的な病態は起立や坐位における、循環動態、および脳循環や脳代謝機能の異常である。日本小児心身医学会は医学中央雑誌等による過去の文献検索を行ったところ、現時点(2018年5月)で、整骨や整体などの代替療法がODの本質的病態を改善するとした科学的根拠(エビデンス)はなかった。すなわち、これらの代替療法について的確な研究デザインによって明確なエビデンスのある研究報告がこれまでに存在しないからである。
 本学会は、本年1月に、ODに対する各種サプリメントの無効性について警鐘を鳴らしたところであるが、上記の代替療法についても同様の注意が必要である。患者団体から懸念の声が多数寄せられているため、ここに再度、警鐘を鳴らす。
 ODに対するエビデンスのある治療については、本学会編 小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン、および専門医向け小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン2011を参考にされたい。なお、当学会では、ODワーキンググループにおいて今後もODに対する効果的な治療について検討する。

(2018.5.23更新)

 

<起立性調節障害(OD)に対する各種サプリメントの効果について>

日本小児心身医学会は現時点(2018年1月)で、ODの起立時の循環動態、および脳循環や脳代謝機能を改善するサプリメントは存在しないと考える。その理由は、各種サプリメントについて的確な研究デザインによって明確な科学的根拠(エビデンス)を示した研究報告がこれまでに存在しないからである。インターネット上では、さまざまなサプリメントに効果があるように宣伝されているが、いずれも起立性調節障害に対するエビデンスはないので、注意が必要である。患者団体から懸念の声が多数寄せられているため、ここに警鐘を鳴らす。
 ODに対するエビデンスのある治療については、本学会編 小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン、および専門医向け小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン2011を参考にされたい。
当学会では、ODワーキンググループにおいて今後もODに対する効果的な治療について検討する。

(2018.2.1更新)